不動産鑑定士に鑑定評価を頼むと幾らかかる?目安費用から安く抑える方法まで全解説

不動産鑑定評価を検討したいけど、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼した場合には、いったいどれぐらいの費用がかかるのか気になっていませんか?

「不動産鑑定評価」は、不動産に関する高度専門家である不動産鑑定士が、対象不動産の適正な経済価値(価格や賃料)を判定し、公的にも通用する証明書として「鑑定評価書」を発行する作業であるため、それ相応の費用がかかります。

しかしながら、単に不動産の適正な時価が知りたいだけの場合等では、「簡易鑑定評価」や「意見書」等の費用を安く抑えられる方法もあるため、自身のニーズに合わせてこれらを使い分けることが肝心です。

このページでは、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼した場合にかかる費用や依頼〜鑑定評価書交付までの流れ、「簡易鑑定」や「意見書」といった費用を安く抑えるための方法まで、以下の流れに沿ってご紹介していきます。

このページをすべて読めば、不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価についての詳細な理解が得られ、自身のニーズに合わせて不動産鑑定評価の活用の検討ができるようになるでしょう。

1. 不動産鑑定士が行う鑑定評価の費用はいくら?

不動産鑑定評価に要する費用は案件の内容にもよりますが、公的機関が鑑定評価を依頼する際に目安とされている不動産鑑定報酬基準に基づくとおおよそ上記の金額になります。

鑑定評価報酬は、対象となる不動産の種類と鑑定評価額を基に、各案件ごとの内容を加味して決定されますが、以下の3つのポイントにまとめることが出来ます。

1-1. 公的機関が目安とする「不動産鑑定報酬基準」

不動産鑑定評価の報酬額には、法律で定められた金額はありません。

そのため不動産鑑定業者ごとに金額はまちまちですが、公的機関が鑑定評価を依頼する際に目安とされている「不動産鑑定報酬基準」というものがあります。

「不動産鑑定報酬基準(クリックで拡大)

多くの不動産鑑定業者がこの報酬基準を基に、後述する案件ごとの内容を加味して報酬額を決定しています。

あくまで不動産鑑定報酬基準で考えた場合ですが、鑑定評価額5000万円未満なら評価額の約1%程度、鑑定評価額5000万円〜1億円でも評価額の約1%〜約0.8%と、報酬額の割合は非常に低く、それで安心が買えるのであれば決して高い費用とは言えないかもしれません

1-2. 不動産鑑定評価の依頼内容によって変わる

不動産鑑定評価の報酬額は上記の費用の目安の表からも分かる通り、対象が土地のみの場合、建物のみの場合、土地建物セットの場合、マンションの場合等、不動産の種類によって報酬額が変わります。

そして依頼内容や対象となる不動産の状況によっても報酬額が変動することを頭に入れておくと良いでしょう。

以下は主に報酬額が増加する事由の例になります。

依頼内容や不動産の状況による8つの割増事由

  • 裁判で不動産価格の証拠資料が必要な場合の鑑定評価
  • 現在時点ではなく過去時点の鑑定評価
  • 継続中の賃貸借の賃料に関する鑑定評価
  • 遠隔地の不動産の鑑定評価
  • 借家人が入居中の貸家の鑑定評価
  • 営業中のレジャー施設(ゴルフ場や遊園地等)の鑑定評価
  • 借地権・借家権の評価
  • 適正な借地条件変更承諾料の鑑定評価

これらは一部の例になりますが、不動産鑑定士による現地調査の手間の増大、不動産鑑定士の法的責任の増大、確認すべき権利関係が複雑な場合、必要資料の取得の難易度等の理由によって報酬額が増加します。

逆に、1年以内に同一不動産の鑑定評価を行なっていた場合、前回の資料が活用できることもあるため「再評価割引」として内容に応じた割引をしてもらえる場合もあります。

詳しくは、不動産鑑定士の無料相談を受けた際や問い合わせに併せて無料見積もりを取ると良いでしょう。

2. 費用を安く抑えるなら「簡易鑑定評価」や「意見書」もある!

不動産鑑定評価書は、高度な専門家である不動産鑑定士が直接現地に赴き調査を行い、対象となる不動産の状況や関係法令、不動産市場の分析等を行い「公的に通用する不動産の適正な価格・賃料」に関する調査内容や市場分析の内容をまとめた書類になります。

従って、裁判所や税務署等の公的機関に提出する際に有効な資料となります。

一方、自身や家族内で参考資料が欲しい場合や、企業であっても内部資料として利用する場合のような、第三者へ提出する必要が無く公的効力を必要としない場合には、代わりに「簡易鑑定評価」や不動産鑑定士による「意見書」を活用することで費用を大幅に抑えることができ非常に有効になります。

2-1. 「簡易鑑定評価」

「簡易鑑定評価」とは、家族内や企業内でのみ参考資料として活用する場合に有効な簡易版鑑定評価書を言います。

不動産鑑定評価書と同じく不動産鑑定士が現地に赴き調査を行いますが、不動産鑑定評価書の作成に比べ記載内容や価格や賃料の評価手法等が簡易的になっているものを言います。

「簡易鑑定評価」は裁判所や税務署等の第三者へ提出する資料としては証拠能力は低くなりますが、費用は鑑定評価書に比べ3〜4割程度割安であり、通常の鑑定評価書より短い期間で済むため、不動産の適正な時価を把握するだけであれば「簡易鑑定評価」は非常に有効でしょう。

2-2. 「意見書」

「意見書」は、現地調査等は行わず不動産鑑定士が机上で対象とする不動産の時価を算出するものです。

地域の価格水準や賃料水準が知りたい場合や、以前算出された鑑定評価額の価格を現在の価値に換算してもらう際に有効な資料になります。

こちらも裁判所や税務署等の第三者へ提出する資料としては証拠能力は低くなりますが、費用は数万円程度であり、通常の鑑定評価書より要する期間も短く、かつ費用を大きく抑えることが出来るため、売買等の際の意思決定の検討資料として「意見書」も非常に有効であると言えます。

このように、自身のニーズに合わせて「不動産鑑定評価」、「簡易鑑定評価」、「意見書」を上手に使い分けることで、時間や費用を効率的に利用することが出来ます。

3. 不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する7つのメリット

不動産鑑定評価の7つのメリット

  1. 損をしない不動産売買ができる
  2. 賃料トラブルが解決できる
  3. 不動産の投資価値が判別できる
  4. 公平な遺産分割ができる
  5. 公平な財産分与ができる
  6. 公平な共有不動産の分割ができる
  7. 不相応に高い相続税を圧縮できる可能性

不動産鑑定評価には様々なメリットがありますが、本ページでは上記の7つのメリットについて解説していきたいと思います。

3-1. 損をしない不動産売買ができる

一般的に不動産の売却の際には不動産業者に査定を依頼し、算出された査定価格でそのまま売却してしまうケースが多くあります。

しかしながら不動産業者は売主からの要望に早期に応えること及び回転率を上げるために、査定額を低く見積もる傾向があり、売主は知らない間に損をしている事が多くあります。

このような場合に、不動産鑑定評価によって不動産の適正な価格を把握しておくことで損をしない取引を行うことが出来ます。

3-2. 賃料トラブルが解決できる

地代や家賃は契約で合意した賃料に縛られるため、契約を更新していくにつれ周辺の賃料相場と現行の賃料が乖離する等、賃料改定に関するトラブルが発生することがあります。

このような場合に不動産鑑定評価を活用することで、対象となる不動産の適正な賃料が明確になり、契約当事者の双方が納得できる賃料の決定が出来、賃料改定時のトラブルの回避や解決が出来ます。

3-3. 投資価値のある不動産が判別できる

不動産投資を始める際にどんな不動産に投資をしたら良いかや、既に行なっている不動産投資が適正なものであるか等の疑問は誰もが抱くものでしょう。

このような場合、不動産鑑定評価を活用して適正な不動産の価値を判定してもらうことで、投資価値のある不動産の判別ができるようになります。

ちなみにREIT等の不動産の証券化の際には、投資家保護の観点から証券化される不動産の鑑定評価が法律で義務付けられており、不動産投資の際にも不動産鑑定評価は重要な役割を果たしています。

3-4. 公平な遺産分割ができる

不動産を含む相続財産を分割する際、不動産を相続税評価額に基づいて遺産分割をするケースが多くありますが、これでは公平な遺産分割をすることは出来ません。

なぜなら相続税評価額は時価の約8割程度の評価となるため、例えば相続人2人で現金1億円と相続税評価額1億円の不動産をそれぞれ相続した場合、不動産を相続した人は現金で言うと約1億2500万円を相続したことになってしまい公平な遺産分割とはなりません。

このような場合も、分割の対象となる不動産に関して鑑定評価を活用することで、分割対象の不動産の適正な価格を把握することが出来、公平な遺産分割を行うことが出来ます。

3-5. 公平な財産分与ができる

離婚の際に夫婦間で財産分与について揉めている場合、不動産鑑定評価を活用することで適正な財産価値を把握することが出来、公平な財産分与が可能となるためトラブルの早期解決が出来ます。

3-6. 公平な共有不動産の分割ができる

親族間で不動産を共同で所有している等の場合、相続の発生や財産の整理等の場面で共有者間で分割に関して揉める場合があります。

このような場合、不動産鑑定評価を活用することで不動産の適正な価値を把握出来るため、公平な分割を行うことが出来ます。

3-7. 不相応に高い相続税を圧縮できる可能性

相続税の金額は路線価を基に画一的な方法で決定されるため、例えば路地状敷地だったり、極端に間口が狭く建物の建築が出来ない土地、不整形で用途が限られてしまう土地等であっても、そういった不利な条件が評価額に十分に反映されず相続税が不相応に高く算出されてしまう場合があります。

このような場合に不動産鑑定評価を活用することで、相続税評価額が圧縮され適正な相続税額まで減額できる可能性があります。

事例として、鑑定評価を行うことで相続税評価額約3億2000万円→約2億円へ1億円以上も圧縮され、税額にして約6500万円もの相続税を軽減できたケースもあるほどです。

4. 不動産鑑定評価の依頼から鑑定評価書交付までの流れと期間

不動産鑑定評価にあたり、依頼前の無料相談から鑑定評価書交付までの一連の流れについて解説していきたいと思います。

4-1. 無料相談・見積もり

不動産鑑定業者はTEL・メール等で問い合わせを受け付けているので、まずは無料相談の申し込みをすると良いでしょう。

無料相談では、「不動産鑑定評価」、「簡易鑑定評価」、「意見書」等ニーズに合わせた交付資料の種類の相談や、実際の報酬額の無料見積もり、必要書類の確認等を不動産鑑定士が行なってくれます。

ここで自身が抱える問題に関するアドバイスがもらえたり、実際にかかる費用を把握できるため、まずは無料相談を利用することをオススメします。

4-2. 鑑定評価の依頼

不動産鑑定業者と対象となる不動産の詳細状況や依頼の目的、評価の流れや鑑定評価書等の納期の確認を行い、不動産鑑定評価の依頼をします。

後述の必要書類をここで提出することで、鑑定評価書等交付前の期間が短縮できるでしょう。

ちなみに鑑定評価書の有効期限は法律上特に決まりはありませんが、対象となる不動産自体の状況や周辺環境の変化等、不動産の価格や賃料に影響を与える要因が変化する場合があるため、前回評価から概ね1年以上経った場合は再鑑定の依頼を視野に入れる必要があるでしょう。

4-3. 必要書類の収集

不動産鑑定評価には主に以下の書類が必要になります。

これらは自身で取得できない場合には、不動産鑑定業者に取得を依頼することもできます。

不動産鑑定評価の主な必要書類一覧

  • 固定資産評価証明書又は固定資産税納税通知書
  • 全部事項証明書(登記簿謄本。法務局で取得可能)
  • 住宅地図
  • 公図(法務局で取得可能)
  • 地積測量図(法務局で取得可能)
  • 建物図面・各階平面図(評価対象に建物がある場合)
  • 道路・下水道台帳(市役所・区役所等で取得可能)
  • 管理規約・修繕履歴・修繕計画等(マンションの場合)
  • 建築確認済証・検査済証(建物遵法性の確認)
  • 賃貸借契約書(賃貸物件の評価の場合)
  • 財務諸表(事業用不動産の場合)
  • リフォームやリノベーションの契約書等(行っている場合)
  • 住宅性能評価書(住宅で取得している物件の場合)
  • 耐震診断報告書(古い物件で調査済みの場合)
  • アスベスト使用調査報告書(古い物件で調査済みの場合)

上記が不動産鑑定評価において主に必要となる書類の一覧ですが、対象とする不動産が自己利用の住宅か賃貸かや、一戸建てかマンションか等でも若干必要書類が変わってくるため、不動産鑑定士に詳細を確認すると良いでしょう。

鑑定評価額に大きな影響を与える可能性のある書類に注意

  • リフォームやリノベーションの契約書等(行っている場合)
  • 住宅性能評価書(住宅で取得している物件の場合)
  • 耐震診断報告書(古い物件で調査済みの場合)
  • アスベスト使用調査報告書(古い物件で調査済みの場合)

上記の一覧表の中でこれらの書類は、鑑定評価額に大きな影響を与える可能性があるため注意が必要です。

例えば、内外装のリフォームやリノベーションはその不動産の価値を上昇させますし、「住宅性能評価」は第三者機関による客観的な住宅の性能に関する評価であるため、これらの書類の提出で鑑定評価額をより高く算出してもらえる場合があります。

また耐震診断やアスベスト等に関する書類は、遵法性の確認や、必要であれば耐震補強・有害物質除去等の対策の要否を判断するために非常に有効な書類になり、鑑定評価額に大きな影響を与える場合があります。

不動産鑑定士は提出された資料に基づいて調査を行うため、資料の収集が困難な場合や、対象が賃貸中で入居者がいるため建物内部の調査が困難な場合等は、鑑定評価書交付までの期間が延長する場合があります。

4-4. 鑑定評価報告書の交付

上記の通り、不動産鑑定評価は対象となる不動産に関するヒアリング、現地確認、関係法令等の詳細な調査、市場の分析、鑑定評価額の算出、法的根拠のある証明書としての「鑑定評価書」の作成等、一定の手順が必要となるため相応の時間が必要となります。

不動産鑑定評価に要する時間は、不動産の種類や依頼内容によってまちまちですが、おおよその目安として約2週間程度の期間を見ておくと良いでしょう。

途中、中間報告として「鑑定評価額」を事前に提示してくれる場合もあるため、急ぎの場合等は不動産鑑定業者に事前に中間報告が欲しい旨を伝えておくと良いでしょう。

4-5. アフターフォロー

不動産は目前の問題を解決しても関連する問題が発生したり、潜在的な問題があったりと様々です。

そのため、不動産鑑定評価書の交付後に不動産鑑定士による継続的なアフターフォローが必要となる場合が多くあります。

例えば、公平な遺産分割のための鑑定評価を受けた後、相続した土地を適正な価格で売却したい、最適な活用方法を知りたい等の場合です。

このような場合には不動産鑑定士による継続的なコンサルティングを受けることで、長きに渡り安心した不動産の活用等が可能となるでしょう。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか?

不動産の価格や賃料に関する様々な問題には、不動産鑑定評価を活用することが最良の解決の近道となることも多いです。

また自身のニーズに合わせて「簡易鑑定評価」や「意見書」を上手に活用することで時間や費用の効率化も可能となります。

そのため、まずは自身が抱える問題に適した解決策はどのようなものであるかを把握し、適切な解決手段を講ずることが大切です。

不動産に関する悩みや問題がある場合は、小さなことでもまず不動産鑑定士に相談してみるとよいでしょう。

弊社では、多数の不動産鑑定士とパートナーシップを組み、様々な問題解決のお手伝いをしておりますので、不動産鑑定士への相談をご希望の方は、無料相談(こちら)よりお問い合わせ下さい。

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